2018/03/13 10:54

北海道の土産品を取り扱う問屋さんが開催する小売店向けの展示・受注会にお声がけいただいてEZO LEATHER WORKSの商品を置いてもらいました。高級ホテルや新千歳空港などで置くお土産の、謂わばイロモノ的な商品としてEZO LEATHER WORKSに白羽の矢がたったのです。しかしその展示・受注会で隣の棚には別の会社で製作された大量に生産されたものであろうエゾシカの革製品が並べられていた。個人的には自分がやってきたことや目指していることを改めて見つめ直させられるような象徴的な構図であった。

 

狩猟の現場で、エゾシカを捕獲して肉は取っても皮は山に置き去りにされ、活用されていない現状に疑問を持ち、素材の素晴らしさに気づき、それをより活かすために何をしていけば良いのか。

出発点はこの気持ちだった。

少しずつ活動が認知され、喜んでいただけるお客様が増えてきてはいるが、まだまだ池田町全体で駆除されているエゾシカの個体数をすべて活用するほどの需要は生み出せていない。全ての工程でベストを尽くし作り上げた商品はできるだけたくさんの人に認知され売れてほしいと願いつつ、一方でその需要を生み出していくことに、疑問や危機感を感じていることも事実だ。その気持ちは私がハンターであることと深く関わりがあるようだ。

 

#相手は管理された、飼育された動物ではないという事 

#常にバランスを取りながら生業としていかなければいけないという事 

#ブレーキをかけるタイミングが重要だという事 

#多様な生態系が末永く保たれてほしいという願い 

#それでも自分は自然と深くかかわりながら生活したいという想い 

#エゾシカを専業とする危うさ 

#エゾシカを生業とする者はその自然界のバランスに柔軟に対応できるように軸足を常に別の所においておくべきだということ。

 

昨年、北海道ではエゾシカの生息数は減少に転じたと発表された。(と言ってもまだたくさんいるが)一方エゾシカの需要は年々増えてきているように感じる。エゾシカに関わって生活をしている者はいちど自分の足元を見直すべきターニングポイントに差し掛かってきているのではないかと感じる今日である。

そして変わらずにいるのは目の前にある頂いた命は自らの一部として生かしていかなければならないという信念である。